鏡真人作品集

大正11年生まれの鏡 真人(きょう まさと)の作品集です。戦中戦後の激動の時代の思いを、詩や短歌で綴っています。

朝顔の花

かすかにも 霧はながるる

柿の実の いまださ青き

破れ垣の のこりの花や

紅いろの 朝顔ふたつ

きぞの夜の 雨にうたれて

         はたと落つ

 

  秋のひかりよ

  風なおくりそ

  かくは空しく 忘られて

  散りにしものを

 

(昭和二十六年九月)