鏡真人作品集

大正11年生まれの鏡 真人(きょう まさと)の作品集です。戦中戦後の激動の時代の思いを、詩や短歌で綴っています。

家族

応召

大方は うつりゆきけり 五年(いつとせ)まへの その面影の いささかもなし 軒なみに 征(ゆ)きしと 小母の語るをば 殊更に聞く ふるさとの家 万歳の声 ひびきけり この村の 最後のひとり 今 征きたるか 世のうつり早きを 思ふ そのかみの 腕白小僧が 飛行…

デンキとタヨウのうた

この日 父かえれば 三歳の子は まわらぬ舌にてうたうなり もしもしィ デンキで さアさやく コブタリィさん*1 この節まことに妙味あり たくまざるうま味あり 愚かなる父親は 父に似て髪うすき子の頭を撫でつ さて 達者なる二世に問いぬ 汝が歌いとも巧みなり …