その日も亡国のうたながれ 濠の水はにぶい光をただよわせ 無心の風のおとずれを聞いた ぶきみにどんよりと重い水は沈み 沈みきったその奥のいっそう蒼白い世紀のかげを ひったりとつつみながら 風の烈しい抗議を聞いた あぶらぎった宮殿の神秘を 日とともに…
おもおもと 霧煙る朝の のぼり路を 汽笛するどく 鳴りわたりゆく ゆたゆたと 日の輝きに 紅葉せる 石ころ路を 登りゆくかも 赤き山が 聳えたつ見ゆ この山の 中腹にして 雲はおこらむ みづうみは 眼のしたにして開けたり このすすき野の 穂のひかりかも さん…
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