2017-06-30 病みしとき 詩集 短歌 昭和31年 紅く大きく ダリヤ花咲く 家の土 ひさびさに踏む 幼な子抱きて 子どもらは 看護婦などにせぬといふ声 ものあらふ音に まじりて聞ゆ ブルドーザの ひびき止みゆきし 安静時 ほそく澄みつつ 風鈴鳴るも 退院を 許されざりし 少年の 声泣きやまず 暑き病舎に 平和デーに 集ひしことを 疎まれて 危き勤めす 五年後の今も テレビ室に 患者らは息つめて見たり 特攻機 またも火を噴きて墜つ (昭和三十一年五月~八月)