2017-08-18 盲目の思想 詩集 詩 昭和26年 雲よ きれぎれの思想を発散させ 片輪のよろこびを押売りしながら どうしてそんなに気取っているのだ 蠅が玉子を生みつけるよりも もっと簡単に生まれ あぶらぎって ぎらぎらと嘲笑う太陽と結婚する 盲目のいきものよ ぼろぼろの白骨が みずみずしい血潮でぬりかえられても あらわな肌を気にしながら 踊ることをやめない狂女よ 雲よ おとろえゆく貴族よ 随うものすべてに十字を切らせ 一切流転の見本となって お前は尊大に飛ぶ ほろびゆく古い世紀 唯我蒼穹独尊天南無広大雲天女 去れ! (昭和二十六年六月)