2017-09-01 雑草 詩集 詩 昭和26年 コンクリート塀のうす暗い影の中から やせた雑草がヒョイと眼をさまし 春にむかって大きなあくびをする ふうわりとした光線のなみに ひょろひょろの地肌をのぞかせ ごつごつした小石や瓦のうえに のびきれないしなびた影をつくり 雨にうたれ雪にたたかれ 死にもしない生き方をして いっしんにあくびをしている (昭和二十六年四月)