昭和23年
言ひ難きを つひに 言ひはつ ひょうひょうと 風ふきすさぶ 夜の銀座に そののちに 来るべきもの われ知らず いまはただ言へ 胸の思ひを あかあかと 街につらなる電灯の 光はげしも 眼にしみるまで 大きなる しくじりをせし 思ひあり 俄に ほほに血ののぼり来…
われや歌びと ならずとも 君い征く夜に ひらきつる 四たりの友の かのうたげ 心もしのに 偲ばれて 風こそふかぬ 膚さむき きさらぎの夜を 恋ふるかな かはるがはるに 飲め飲めと 強ひられるまま 強ひるまま さかづきかさね 五つ六つ 九つ十と およぶほど 頬…
寵愛の ふかかりければ 幼帝を立てし それより 起りたる乱 ( 保元 ) へろへろ矢 清盛ごときが 何せむと 肩ゆさぶりて 笑ひけむかも ( 為朝 ) はるばると 敵となる子に 重宝の鎧 おくりしか 武将為義 炎々と 御所は燃え立つ 烈風に 源為朝 歯がみして 立…