2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧
ととん ととん と 風が硝子を吹くのです それだのに 月は冴えかえって 生きているみたいに 光っているのでした ぶるうぅん ぶるうぅん おびえた若者の 魂をかきたてて そこらいっぱい 焼夷弾が降っています 食卓には食べのこした味噌汁が ひいやりと澄んで …
雲よ きれぎれの思想を発散させ 片輪のよろこびを押売りしながら どうしてそんなに気取っているのだ 蠅が玉子を生みつけるよりも もっと簡単に生まれ あぶらぎって ぎらぎらと嘲笑う太陽と結婚する 盲目のいきものよ ぼろぼろの白骨が みずみずしい血潮でぬ…
此所からは駅がよく見える 下りの電車がごうごうと走ってくる 扉が開かれ 涼しい白シャツの若者たちが ゾロゾロと降りたち 階段を昇るところまで手にとるようだ 昨夜の烈しい雨は あとかたもなく拭いさられ この澄みきった空のいろを見るがいい ほんとうに心…
どろどろした腐肉かなんぞのように 重ったるい炭酸ガスがよどみ そのなかからひとつの顔が浮び・・・ 鋭い刃物を蔵いこみ べっとりした油で ぴかぴかと光っている歯車のかげから まっさおな顔が浮び・・・ もりこぼれるビールの泡をごくごくすすりあげ 南京…