鏡真人作品集

大正11年生まれの鏡 真人(きょう まさと)の作品集です。戦中戦後の激動の時代の思いを、詩や短歌で綴っています。

昭和31年

病みしとき

紅く大きく ダリヤ花咲く 家の土 ひさびさに踏む 幼な子抱きて 子どもらは 看護婦などにせぬといふ声 ものあらふ音に まじりて聞ゆ ブルドーザの ひびき止みゆきし 安静時 ほそく澄みつつ 風鈴鳴るも 退院を 許されざりし 少年の 声泣きやまず 暑き病舎に 平…