鏡真人作品集

大正11年生まれの鏡 真人(きょう まさと)の作品集です。戦中戦後の激動の時代の思いを、詩や短歌で綴っています。

橋ながし

俳句はこの三句よりほかにつくりたることなし

秋桜子に多く興味ありし頃

いまは亡き伊藤文章に誘はれ千葉多佳士とともに

浦和さくら草田島原に遊びしとき

 

橋ながし バスのほこりの ゆく彼方

 

  今朝も微熱あるごとし

希むこと 遠からねども 春を病む

 

句に倦いて ひばりに 耳を 奪はれし

 

(昭和二十六年四月頃)